『沖縄島建築・建物と暮らしの記録と記憶』
発売前から楽しみにしていた【沖縄島建築/建物と暮らしの記録と記憶】。
率直に、めちゃくちゃ素晴らしい一冊です。
大々的にガイド本とは謳ってはいませんが、この本を片手に沖縄を訪れる人達が2020年は多そうな気配。
沖縄とアメリカにまつわる歴史的背景もふまえつつ、沖縄独自の文化を建築にまつわるストーリーと共にわかりやすく解説してくれます。
要は、島のディープな側面と魅力をも教えてくれるそんな本です。
って感じで、今回はその感想レビューです。
では早速。
【沖縄島建築・建物と暮らしの記録と記憶】/味なたてもの探訪
木造建築、コンクリート建築、赤瓦、セメント瓦、琉球、日本、アメリカーー
多様な文化が混ざり合う沖縄のまちと建築を通して、
時代の流れのなかを生きた人びとの暮らしの「記録と記憶」をまとめた一冊。琉球王朝時代の名残をとどめる建築、現存する数少ない戦前建築、
そして戦後アメリカ文化の影響を受けた建物まで沖縄の歴史を辿る10軒を取材。その他、沖縄独特の建築意匠やアイデア、地域の商店などを紹介したコラム、
沖縄本島4エリアの見るべき建築を、写真と専門的な解説で紹介したマップなど。
まず、先にお伝えしておきますと、「この本は有名な建築紹介や、必ずしも芸術性が高いというわけでもなく…」という、筆者のはじめの挨拶からはじまります。
本の表紙の右上にも書かれていますが、この本は「味なたてもの探訪」シリーズで、【沖縄島建築】は第二弾ということです(初めて知りました。)
ちなみに、第一弾はこちらの【看板建築・昭和の商店と暮らし】。
で、話を沖縄島建築にもどすと、本の構成が沖縄建築の歴史や風土などから始まり、下の写真の帯にも記載されているように、それぞれの場所(建築)に関わる方々へのインタビューに続きます。
そしてその間に、沖縄の建物に関するウンチクが挟まれているのですが、とにかく読み始めると「へぇ〜!」とか「あるある!」とか「確かに!」「そうなんだ〜!」とか一人相づちと共に、一瞬で本の世界に引き込まれます。
正直これを読むまでは、沖縄の建築・建物・風景って、どこを切り取っても、良く言えば「沖縄っぽさ」であるけど、悪く言えば「沖縄臭さ」みたいなのが隠しきれないというか、そういう風に思っていました。
でも読み終えてからは、外に出る度に、建物の花ブロックや直書き看板に目がいくし、超今更ながら赤瓦とセメント瓦の違いに気づき、主人の実家に行けば古くさいなと思っていた鉄門扉が最高にイケてみえる、そんな現象が起きました。
この一冊をきっかけに、大げさでなく私の視界は大きく変わったのです。
まとめ
去年2019年は、那覇の公設市場が移設したということも沖縄県民にとっては大きな出来事だったのに、さらには首里城火災というとんでもないことまで起こってしまいました。
「那覇の台所」とか「沖縄の魂」とかそういう風に例えられたあの場所ですが、その一方で意外にも、私の周りの沖縄人(うちなーんちゅ)はどちらにも行ったことがない人や、馴染みのない人が結構いたので驚きました。
かくいう私もそんなに頻繁に通ったわけでもないですが、それでも私にも強く残ったのは、「こんなことになるなら、ちゃんと行ってあの場所をしっかり見ておけば良かった」という後悔。
この本に掲載されている場所(建築)達が、将来的にどのような形で変化を求められるのか、もしくはそのままの形であり続けてくれるかどうか、それは分かりません。
でも、きっとこの本を通じて、私を含めたくさんの人達が「沖縄建築」というキーワードを軸に沖縄の魅力を再認識して、文化的な視点を学べるいいきっかけにもなることは間違いないです。
沖縄県民はもちろん、県外の方の多くの方にも知ってもらいたい、そんな一冊でした。
では、今回はこの辺で。
(「味なたてもの探訪」的な要素もある過去のブログ記事)
『沖縄・南城市/「芭蕉(ばしょう)の家」(airbnb)が最高!』
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