日本からイタリアへ!料理人が修行する場合の待遇と給料

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この記事を読みに来てくださっている方、タイトルに興味を持ってくださったんでしょうか。

そう、今回はこのことについて書いてみたいと思います。

『日本からイタリアへ!料理人が修行する場合の待遇と給料』

私はinstagram(2014~2018年の間)でイタリア在住中の記録を当時ほぼ毎日ポストしていました。

その時にも、いつかこのことにもふれてみたいなと思っていて結局書けずじまいだったので今回ここでリベンジです。

もし、イタリアへ修行に行かれる予定のある料理人さんの参考にもなれたら嬉しいです。

(2020年3月24日追記)

『イタリアへ料理修行に行く時に必要な持ち物10選!』のブログ記事を更新しましたので、よかったらそちらもあわせてどうぞ。

私たち夫婦がイタリアへ渡った経緯

私たちは2014年1月から2018年6月まで約4年半を夫婦でイタリアに住んでました。

そもそもの動機はよくある感じ、料理人の主人が本場イタリアで修行したいということから。

それに私もついていったというわけです。

日本からイタリアへ料理人が修行に行くまでの最初の試練

今回の記事では、イタリアに滞在する為のビザなどの細かな情報は書きませんが。

でも少しだけふれておくと、ビザ申請をする時に、日本の大使館で過去6ヶ月くらいの銀行の通帳記録のコピーも提出しないといけないんです。しばらく働かなくても生活が出来る経済力の証明的な。

その預金残高のボーダーラインは厳密には規定があったわけではないと思うんだけど、確か130万から150万以上だったかな。

ビザを取る為にイタリアの語学力テストみたいなことはないので、問題点は貯金額。

ここが、最初のハードルになります。

で、私たちはそれぞれでそれをクリアしたからイタリアに行けたんですけど(最初は学生ビザで滞在して、後に就労ビザを取得)、イタリアに着いたばかりの時点で夫婦の貯金合わせて200万切ってたんですよね、既に。

なぜかって、ビザが取れてから渡航準備やらいろいろ必要なモノを準備したらそうなってたんですね(計画性問題あり)

だから、主人には早く仕事をみつけてほしかった 笑

ちなみに、イタリアに出発する前に私もこの本を読みました。

出版された時期が2003年なのでずいぶん事情は変わった部分もありますが、リアルな内容で今読んでも参考になる部分も多いです。

イタリアで日本の料理人が仕事につく為に

イタリアで日本人の料理人が仕事につくには、ほぼほぼ紹介が多いです。

というか、役所とかの仕事をのぞいてはイタリア人同士でも紹介は多いです、飲食店は特に。

「イタリアはコネばっかりだから国として発展しない」ということを言う人もいて、確かにそういう部分も大きいかもしれない。

でも、実際のところ、外国人としてイタリアに住んでいた私達からすると当時はコネに救われることばかりで有り難かったです。

イタリアに日本から来る料理人はよっぽどでないと、最初から就労ビザなんて持ってないので最初はみんな語学学校で学生ビザをとる人が殆どだと思います。

最初は現地に知り合いなんていないケースが大体なので、そういう時は語学学校に貼られている求人情報が結構役に立つことがあります。

わたしたち夫婦も知り合いがいない状況でイタリアに来て、現に主人の最初の仕事は学校からの求人情報で見つかりました。

具体的に主人のケースはこんな感じ。

主人はイタリア在住の4年半の間合計4つのお店で働いたのですが、1つ目が語学学校の求人情報で見つけたオステリアでの仕事。

イタリアに来てから2ヶ月くらいで仕事が決まりました、これはとてもラッキーな方だと思います。

そこは、フィレンツェの日本人シェフのいるお店、カメリエーレ(サービススタッフ)がイタリア人という環境でした。

そこで1年くらい働いて言葉も勉強しながら異国での生活に慣れていった感じです。

その後、語学学校で知り合った台湾人の友人経由で紹介のあったトラットリアで働くことになりました。

「al tranvai」というお店ですが、ここは、オーナーシェフのグラッツィアーノが日本好きということもあって、とても可愛がってくれ嫁の私にもすごく良くしてくれました。

とはいえ、「al tranvai」での仕事はそんなに長くなくて10か月くらいかな。

その後、語学学校で知り合った日本人の料理人の友人が働いたお店で。その友人が抜けるタイミングで後任という形で北イタリアのveneto州にあるレストラン「la paterna へ。

ここで出会ったオーナーシェフのジョバンニとの出会いがさらに私たちのイタリアを広げてくれたのですが、そこで彼と1年働いた後、主人は彼が新しくオープンさせるお店のOsteria enoteca della Vignaのシェフを任されることになります。

主人の場合はざっとこんな感じ。









で、肝心の「日本からイタリアへ!料理人が修行する場合の待遇と給料」という部分ですが、イタリアに来て最初は知り合いやツテがないのは当然なので、手始めにすぐ出来るのは語学学校で知り合った友達と連絡先やSNSなど交換しておくことをおすすめします。

単純ですが、これが後々いろいろ巡り回って意外なチャンスを運んできてくれたりします。例えば、facebookで誰かがシェアした求人情報から見つかることもあります。

それから、学校の事務の窓口の方にも仕事を探していると伝えておくのもありです。

あとは、実際に食べ歩きをしてみて気に入ったお店に通いアプローチするパターンや、そこのお店の人と仲良くなると「あそこでコックを探していたよ〜」みたいなことも生まれます。

ちなみに、日本でいうところの求人情報誌からの職探しはイタリアではメジャーではないです、というか私は見た事がない(知らないだけなのか…)

それから話は少しそれますが、私もフィレンツェで仕事が見つかり働いていたのですが(いつかこのことも書きます)、そこにも飛び込みで履歴書をもってくる人がイタリア人含めて結構いました。

その時、受け取った同僚のイタリア人達はオーナーまで履歴書をまわすことなく大概の場合はそのまま処分している感じでした。

紙きれの情報だけでは人柄がみえないということなのか、おしゃべり好きのイタリア人だから会って話せるタイミングやチャンスを重要視するのか(履歴書を持ってきた時点でオーナーがたまたまいたらご縁みたいな)、、

全てのお店がそうとはもちろん限らないけど、あぁいう場面をよく目の当たりにしていたので履歴書の効力は弱い印象があります。

つまり、日本からきた料理人にとって仕事探しは人繋がりな部分は大きいと思います、最初は特に。

あとは、このワードを言ったら元も子もないのだけど「運」。

これはしょうがないけど、「運」はやっぱり大きいです。

でも、もちろんそこから先は、本人による努力と忍耐は相当必要です。

イタリアへ日本人の料理人が修行へ行った場合の待遇と給料

イタリア人が、日本人に抱く印象というのはとても良いです。

それは有り難い事に、先人の日本人の方々が感じ良くイタリアで過ごしてくれたお陰、それと仕事としても結果を出されてきている部分が大きいと思います。

だから、日本人の料理人を探しているイタリア人オーナーは結構います。

よく働き、まじめで、腕が良く、しかも協調性があるという点で日本の料理人はとても評価が高いのです。

そして、給料面ですが。

日本人の料理人だからというわけではないけど、まず北イタリアと南イタリアで給料面は違います。

これは経済事情もからんでくることもありますが、南に行く程、給料は低いのが一般的です。

あとは、カジュアルで家庭的なトラットリア(食堂)か、キレイめなリストランテ(ミシュランの星つきレストラン含む)で働くのかでも給料面は変わってきます。

これは少し意外かもしれませんが、リストランテの方がもらえる給料が少ないのが一般的です(シェフポジションの場合はもちろん別です)。

特に星付きリストランテの場合は経験を求めての志望者も多く働き手に困ってません。

それから、一皿を仕上げるまでの行程がより複雑で手数も必要となりキッチン内で働くコックの数も多いのです。

そんな環境から給料はそんなに多くはありません。月に500€とか、多くても800€とか(以下、全て手取りでの給料額です)。

一方、トラトッリアの場合はすごく大規模でなければシェフがいて、あとはコック2人もしくは1人でキッチンもまわしています。

で、お客さんの回転率が高い忙しいお店だとお給料は、月に1000€以上もらえるところは結構あります。

但し、この場合も南にいくほど給料は下がります、私の知っている限り、ナポリやプーリア、シチリアあたりだとフィレンツェと比べると給料面は低いです。

しかも、有名なpizzeria (ピザ屋)だと修業するのにお金を払うケースもあると聞いた時はびっくりしました。

ちなみに、主人の場合はフィレンツェで働いた2つのお店はオステリア・トラトッリアだったので月に1000〜1200€もらってました。

それプラス、mancia(マンチャ)でプラス100€。manciaとはチップのことです、月毎にたまったmanciaをスタッフ全員で平等に分けるというのが一般的でした。

フィレンツェは観光地なのでmanciaをもらえる額は他の州に比べて多いかも。

それから北イタリアに行ってからは「La paterna」では最初は800€、それからしばらく働いて交渉して1000€。

その後シェフを任されたオステリアでは、最終的には月に2000€をもらってました。

ここまで、読んでもらってお分かりかと思いますが、イタリアでもらえる給料は日本と比べるとだいぶ少ないです。

これは日本人の料理人に限った話ではなく、イタリア人の実際の給与所得は大半が月収で1000€〜1200€(約13万〜15万円)と言われています。

だいぶ少ないですよね。

でも、生活面でかかるお金が少ないこともまた現実としてあり、だからそれなりに暮らしていけます。(このこともまた別の機会に書きます)



イタリアへ修行する予定がある日本人の料理人さんへ向けて

少なからず現地で日本から来た料理人達と出会い、主人が働いてきたのをみて改めて思ったのは、イタリアで何を学びたいかによって修行の目的ってそれぞれなんだということ。

伝統的な郷土料理を学びたい、その土地の文化や食材に触れたい、あるいはワインのことを知りたいからカンティーナで働いてみたいとか。

私の主人の目的はイタリアに住みながら食文化を体感して学びたいということ、それから現地のリストランテで働いてみたいということでした。

それもあり、給料面では安定していたオステリア・トラットリアでの仕事から、タイミングと時期を見て本来の希望であるリストランテでの仕事に環境を変えました。

なので、繰り返しますがどういうことを学びたいのかをはっきりさせることが大切かなと思います。

特に、学生ビザで滞在している場合は滞在期限があるのでモタモタしてられません。

ちなみにイタリアの現地で知り合った日本人の友人は、ひたすら星付きレストランだけをまわるという目的に絞っている人もいたり、あるいは郷土料理・家庭料理含む地域のことを学びたいとアグリツーリズモ(農家民宿)を中心にまわって働く人も。一方で半年毎に仕事を変えて、その間に旅をしている人もいたなぁ。

正直、収入面だけで日本と比べてしまうとしんどくなることが殆どです。

主人の場合、最終的にシェフのポジションを得て、月収2000€までもらえる立場になりました。

額だけでいえばイタリア人の中で比べてもいい方だったけど、でもシェフとしての責任や仕事量からくるストレスやプレッシャーはかなり大きく精神的に追い込まれることも結構ありました。

冗談抜きでベッドから起きられなくなる日もあった程です。それを考えると、決して給料は多いとは思えなかったです。

とまぁ、イタリアで働くということはいろいろな覚悟と時には諦めも必要だったり。

「こんなに働いても額面でみたらこんなものか」とか考えたらキリがないことに加えて、言葉と文化の違いも受け入れるのは大前提です。

同僚と口喧嘩や言い合いなんて日常茶飯事だし、やりあったあとは仕事中のすれ違いぎわにゲップされたり、帰り道同乗中の車から降ろされることも時には現実として受け止めなければいけません。(笑)

それからもし、この記事を今読んでくれているイタリアへ行く予定の料理人の方がいたら(嬉しいな)。

こちらも合わせて読んでたらいいかも。

上で紹介した本「イタリアにいってコックになる」の続編というか、イタリアへ行ったあの料理人達の10年後を描いた内容。私はイタリアに住んでいる頃に、友人から譲ってもらった一冊。

もういろんな事が、自分たちとの現状とも重なりドキドキが止まらなかったし、帰国してからも読み返しました。




『日本からイタリアへ!料理人が修行する場合の待遇と給料』まとめ

イタリアに限らずだとは思うけど、異国で働くってなかなかハードです。

今はどうかは分からないけど、私達がイタリアに住み始めた当時は、日本からイタリアに修行に来る料理人は年間3000人近いと言われてました。

そんななかで、現地で知り合った日本から来た料理人は急遽仕事を解雇され(その場合は彼の勤務態度やイタリア人への理解が足りなかった部分もあったようだったけど)その後仕事も見つからず帰国せざるおえなくなった人や、一方でまじめに働いたのに給料を払ってもらえないなんていう話も聞いたり、なんだか他人事には思えないこともたくさんありました。

でも、それも含めて人生ネタ・自分の肥やしにするといポジティブさを持てればどんな状況でもプラスになります。

イタリアから帰国して思うことは、イタリア人って本当に自分の気持ちに素直に正直に生きているんだなぁということ。

食べる事や楽しいことにひたすら貪欲で、家族・恋人・友人を大切にしていて情熱的。

常に自分の気持ちを優先に思いのまま生きている彼らが結構羨ましくもあり。

そんな彼らだから、一緒に働いていてもいろんな場面で自由すぎたりするからイラっとさせられることも少ないくないけど、でも人を喜ばせるサービス精神があって応用力や即興力の高いイタリア人から学ぶことは本当にたくさんあります。

人間臭いっていいなぁっても思わされるし。

とまぁとにかく、こんな感じです。

今日はこの辺で終わります。また、イタリアのこと書きます。


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