イタリアで修行する日本人コック(料理人)の生活事情

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先日の『日本からイタリアへ!料理人が修行する場合の待遇と給料』を読んでくださった方、Facebookでもシェアしてくださった方、どうもありがとうございました。

今回は、イタリアで修行する日本人の料理人達が、少ないお給料でどのように生活しているのかをもう少し具体的に書きたいと思います。

イタリアで修行する日本人コック(料理人)の生活事情

前回の記事にも書きましたが、イタリアでもらえる給料は、日本に比べてとても少ないです。

「イタリア人の実際の給与所得は大半が月収で1000€〜1200€(約13万〜15万円)と言われている」ということは、前回お伝えしましたよね。

で、イタリアで日本から来た料理人が修行する場合。

「星付きリストランテだと月の手取りの給料が500ユーロというところもある」と書いたことも覚えていますか?

そんな状況で、料理人達はどのように生活しているのかって。

彼らは住み込みで働きながら生活しています。

フィレンツェの様な観光都市では、住み込みで修行ということはあまり一般的ではないけど、郊外や田舎で働く場合は、そこのオーナーが生活できる部屋を用意してくれていることが多いです。

でも、その住み込みの事情も本当にさまざまです。

星付きリストランテでコックの多いところだと大部屋で数人の同僚と相部屋だったり、家族経営のトラットリアだとオーナーシェフが住む家の一部屋とか、あとはアグリツーリズモだとレストランに併設する宿の一室など。それから、私の友人の料理人はキャンピングカーで生活させられたらしいです(結構、過酷だったみたいなんだけど、話を聞きながらさすがに爆笑してしまった)

フィレンツェ内で修行している料理人達は、各々でルームシェアして生活している人が多いです。

その場合は自費ですが、フィレンツェ内の仕事は結構お給料がしっかりしています。

それと、フィレンツェに住む日本人は多いのでその分、仕事の紹介のチャンスも多いです。日本から来たばかりでイタリア語があまり得意でない料理人でも、技術とそれなりのコミュニケーション能力(度胸も)があれば、月に1000ユーロ以上の給料がもらえる場合も少なくないかな。でもまぁそうは言っても、ルームシェアで住むところを確保するにしても、少なからず月に350ユーロから400ユーロかかるので、、、その分を差し引くと手元に残るお金もしれているので、どちらにせよ収入の範囲内では贅沢は出来ないのが実情です。

あとは余談ですが、そもそも、フィレンツェに関わらずイタリアって一人暮らし用のアパートみたいなのがあまりなくて。だから、イタリア人も実家暮らしや恋人やパートナーと住んでいたり、ルームシェアの場合は同居人として割り切って住んでいるケースも多いです。




イタリアで住み込みで修行する料理人のメリットとデメリット

で、話を戻すと、給料の少ない修行中の場合でも、オーナーが住む場所を提供してくれるので生活をしていけるというわけです。光熱費も支払うケースも殆どなく、まかないは職場で食べられるので。今でこそ日本の携帯代も安くなってきたけど、イタリアも携帯代は安いです。月10〜20ユーロくらいで、あとは住むところ以外にも結構いろんなところにWi-Fiも飛んでるし。

休みの日に自炊するのも、鮮度の良い食材が安く手に入るし、サラミ・チーズ・ワインを生活必需品にいれたとしてもお金はさほどかかりません。

でも料理人はみんなやっぱり食べ歩きはしますね。そこを勉強しにきてるわけだから。

それを含んでも月500ユーロでは一応生活出来ます、家賃がかからないのは大きいです。

ただ住み込みで働くとなると、例えば、職場を卒業する時、もしくは解雇された場合(そんなに多くないけどでも実際にはあります)は身を寄せるところがなくて困ることがでてきます。

そういう場合は、ホテルや宿に泊まると安くても一泊30ユーロ、平均すると50ユーロはかかるので、友人や知人を頼ることが必要にもなってきます。私の知る料理人の一人で、突然解雇を告げられ、次の仕事が見つからなかったのもあるけどそれを繋ぐ為の経済力や、あとイタリアに来たばかりで知り合いやツテもあまりなく帰国せざるを得なくなったこともありました。

でも、逆に住み込みだからのメリットもあって。

家を契約しているわけではないのでいつだって身軽。

家賃がかからない分、切り詰めればわずかでも貯金はできます。

それから、イタリアでの滞在期限を決めて日本から来ている料理人達は、ひとつの店に固執せず、何軒か修行先を作りたい人が少なくないです。

だから、ひとつのところを卒業したら、また次の職場で働き出す時期の1,2週間をバカンスとして、旅に出る流れが結構多かったです。

で、バカンス明けは、新しい職場で新しい住処でスタートって感じで。

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イタリアで住み込みで修行する料理人に求められるもの

住むところを用意してもらえる有り難さはありますが、でもやっぱりその環境に順応する能力は超必要です。

家賃はかからないけど、住む場所は選べない、自分の身を置く環境の好みが通るわけでもなく、相部屋となれば常に同僚と一緒でオンもオフもない。しかも、相部屋の相手はイタリア人とは限らず、よその国から修行に来ている料理人だったり、そこも様々。

異国で生活するには、多様性を受け入れるというのは言うまでもなく。

それから、住み込みの話には限りませんが、やっぱり泥棒には気をつけないといけないです。

私の友人は住み込み先に泥棒が入って貴重なお金を盗まれたことがあったし、私達自身は実際に未遂で終わりましたがぞっとするような経験もしました。

日本にももちろん泥棒はいますが、それ以上に異国で生活する上では特に警戒心を忘れてはいけないです。

やっぱり、外国だから。日本とは違います。

自分の家でもない、プライベートもあるのかないのか、その上 警戒心も常にだなんてこう書くと住み込みはキツそうなことがばかりですが、、

そうですね、実際に精神的にも図太くないと絶対やっていけなのはあると思います。

でも私が現地で出会った料理人達はやっぱり覚悟があって、メンタルが強い人が多く、不思議と住み込みでの嫌な話ってあんまり聞かなかったです。

ただ今思えば、それってきっと彼らの努力だったんだなぁって。

全ての環境や状況から学びたいという貪欲さや、あとはいい意味での諦め。イタリアで生活すると、物事が計画通りいかないことが大半なので、ハプニング慣れもするし、もがいてもしょうがないって思うことって日常茶飯事です。そこをプラスに変換させるポジティブさは求められます。

ちなみに私達夫婦の場合、主人が北イタリアで働くことになり、私は元々生活していたフィレンツェで働いていたので半年くらい別々で暮らしてました。

後に、そこへ私も暮らしの拠点を移し、主人がオーナーシェフのジョバンニから与えられた小さな部屋で夫婦で半年住んだことがあります(その後は家を借りました)。その小さな部屋はジョバンニの実家の一室で、シャワーとトイレは部屋内、キッチンは外にあるガスコンロを使うという生活でした。

家賃はタダ、本当に有り難くて助かった。

でも寒い冬の中、シャワーは水しか出なくなる時もあったし、外で料理して洗い物もしないといけない。しかも生活する部屋内にはサラミやプロシュートを保管する小部屋もあってそこから香るいろいろ。そこに出入りするマンマや弟達の都合もあり、遅くまで寝てたり昼寝してると「具合が悪いのか」と毎度心配される 笑

決して快適な生活ではなかったけどでも、今となればそれも笑い話。

しかも同じ屋敷に住むポルド(犬)も結構うちらのことを支えてくれたし。




『イタリアで修行する日本人コック(料理人)の生活事情』まとめ

イタリアで知り合った日本から来た料理人は、20代半ばから30手前の年齢の人が多かったです(私達夫婦もイタリアに住み始めたのは29歳でした)。

日本でいう、30手前の年齢だと会社員の場合って、ある程度貯金もあってっていうのが一般的なのかもしれないけど。

ただ、料理人って日本でもそんなに多くお給料をもらえていないことが多いし、私達もそうであったように貯金がギリギリでイタリアまで来ている人ってたくさんいます、というか大体そのケースが多いかも。。

だからこそ、勝負をかけにきているというか。

「イタリア帰り」の料理人がたくさんいる日本では、そこに箔がつかないのもそれなりにみんな分かっていて。

その中で自分の目的やビジョンをそれぞれに強く持っている料理人は尚更強いです。

「わざわざイタリアまで来て、自分は何をしたいのか」ってこと。

それから、イタリアで就労ビザを取るのは簡単ではないです。

例え、お店側が就労ビザを出したいと言ってくれても、外国人の就労ビザ取得の法令が解禁されないとその手続きが出来ないからです。Decreto Flussi(デクレート・フルッシ)というのですが、だいたい年に一度、外国人に対して就労ビザ取得の枠が解禁されて、いろいろ面倒くさい手続きを経てからようやく就労ビザが取れます。

なので、もし学生ビザのままで滞在許可証(ビザ)を更新するには、語学学校にも新たに通い続ける証明が必要なので、学校に更新料を払わないといけないです。学費の更新料はもちろん、語学学校によってそれぞれです。1500〜2500ユーロとか。

(ちなみに補足事項として、厳密にいうと学生ビザ(就学ビザ)の立場で働ける時間というのも法的に定められています。)

私達夫婦も就労ビザをとるまではそのパターンでした。

で、もちろん貯金に余裕はなかったのでどうしたかというと、お給料の交渉です。

主人はステップアップをしていくなかで、「自分はこれだけのことは出来るから給料をあげてほしい」と直接交渉してきました。

日本人の美徳に謙虚さはありますが、イタリアではそこはあまり評価されません。もちろん傲り(おごり)という意味では好まれないけど、確実に出来るかどうかということよりも、やる意思があるのかどうかという方が評価基準になるような傾向があります。

しかも、給料交渉するということは自分自身にも発破をかけることになり、自己成長にも繋がるのでいいことだと思います。

お給料の交渉に関しては自分からしない限り、雇用する側のオーナーが自然と上げてくれるということもあまり聞かないですね。

イタリアでは、自分から発言や交渉しないということは、その現状に不満がなく満足していると思われるので。

それから。

日本からイタリアに来る料理人達の間には、わざわざイタリアに来てまで日本人とはあまり関わりたくないとか、つるみたくないっていうちょっとしたピリッっとした空気感があるのも事実です。(もちろん皆が皆そうではないけど)

それくらい、やっぱり気合いを入れて日本から来ているというか、そういう緊張感もいい方に作用することもあると思います。

でも、実際に現地で働いて生活していくなかで、イタリア人からしか学べないってことはもちろんなく、環境が違えど同じイタリア国内で闘っている同じ日本人から励まされることや教えてもらえることもものすごくたくさんあります。

それぞれの環境を羨ましがったり妬んだりすることよりも、同じ熱量で頑張っている日本人の活躍を素直に喜べたり誇りに思えたりする、そんな仲間と出会えたことに感謝する場面が少なくないです。

あとは、日本では出会えなかったはずの出会いが異国で生まれ、その輪が広がっていくこともあります。

現に私の主人の帰国後の今の職場は、イタリアで出会った大切な友人経由での紹介からはじまりました。

とにかく。

もし、これを読んで下さっているイタリア行きを予定されている料理人の方がいたら(嬉しいな)、最後にこのことも伝えておきたい。

イタリア人、日本人、国籍に関係なく、その時々の出会いを楽しみ、その嬉しい気持ちを相手にきちんと伝えるということを繰り返していくことで、人との繋がりはより強く太くなり、それが自分の財産となることは間違いないと思います。

私達夫婦は、そのことをイタリアでとても感じましたし、というか、それは世界中どこに住んでも通ずる真理なのかなとも思います。

すいません、

締め方がタイトルとは少しずれましたが、そんな感じです。

今日のところはこの辺で。

また書きます。

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