読谷・tou(トウ)カフェ&ギャラリー /松田七恵さんのお話。

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tou cafe and galley(トウカフェアンドギャラリー)経営者でもありカフェを取り仕切る松田七恵さんは 北窯の松田米司さんの次女。

そして 彼女はわたしの大切な友人でもある。

今回 touの事を書くにあたり touの経営者という立場の彼女だけでなく  友人としての彼女のこと、それから彼女の父親のことにも触れてみたかった。

【tou cafe and gallery(トウカフェアンドギャラリー)  基本情報】

(住所) 沖縄県読谷村伊良皆578

(電話番号) 098-953-0925

(営業時間) 11時〜18時

(定休日) 日・月曜日

※臨時休業あり

※ギャラリーのみの鑑賞ももちろん可能

読谷/tou (トウ)カフェ&ギャラリーの松田七恵さんについて

まず touがまだオープン準備中の頃の彼女は 客観的に見ていて  楽しみな期待より不安そうな部分があったのを覚えている。

その時も「お父さんのお陰だから」という言葉が わりかしな頻度で会話のなかで見えた。

昔、彼女は「松田米司の娘だと知ると  お父さんを知っている人達は自分にすごく良くしてくれるから なんだかコネを使っているみたいで申しわけない…」ということを父親に話したことがあるらしい。

その時、米司さんは「自分はお前たちが不自由なく生きられるように 頑張ってるのだから 環境も含めてそういうご好意も感謝して受け取りなさい」と仰ったそうだ。

彼女自身も 「そっか、それでいいんだ」と今まであったモヤモヤが少し拭えたのだと言っていた。

とはいえ 現実の彼女はというと 用意してもらった環境にただただ甘んじるわけがない。

以前、彼女は父親とその工房で働くスタッフについて 自身のインスタグラムでこうつづっている。

工房のこれからに関わる大きな出来事が起きた。

予期せぬことは、背後から人を脅かすように衝撃を与え、そして心臓をばくばくと激しく波うたせる。

みんなが必死だった。

大きな存在が揺るがされる時、それに準じてきた者たちは 心の置き場を失いそうになる。

彼らはその日 眠れなかった。

土の世界で憧れているあの背中を失いたくなかった。

彼らは残されたお弟子さんたちと これまでと変わらずに淡々と仕事をこなすことを決めた。

目の前にある仕事を。

あの背中から与えられている仕事を。

彼らは周りから助けられながらも手探りで工房を守った。

彼らが失いたくなかった背中は 長い歳月をかけて轆轤の前に戻ってきた。

待ち望んでいた光景を見ることが出来たのだ。

その背中がつくる器は 今も生きて産み出されている。

背中とは彼女の父親のこと、米司さんは2016年に大病を患っている。

「もうそろそろtouオープンだね」と彼らが話していた矢先のことである。

あるいは別の日にこうも記している。

大きな試練が降りかかった時、この先が不安でたまらなくて 病院のベッドで横になっている父の手を握って「お父さん…」って何度も呼びながら泣いたこともありました。何も言わずにじっと見つめる目が不安気だけど慰めているようで不思議に心が落ち着いていったのを覚えています。

でも何事も過ぎてみれば悪いことだけぢゃない。家族に起こった辛く受け入れがたい出来事もそれを通して家族の絆がさらに強まりました。            

              

tou cafe and gallery(トウカフェアンドギャラリー)を通して七恵さんが伝えたいこと

改めて今の彼女にtouのお客さんに何を伝えたいかと聞いてみた。

『あんなに大変な状態になった人が復活してエネルギーに満ちている、それは確実に作品にも反映されている。自分が言うのもおこがましいけど ここに来てくれた方達が お父さんの作品を見て何かしら感じてくれて、前向きな気持ちになってくれたら嬉しい。自分だってもっと新しいステージにいけるかもしれないっていう気になれるというか』と答えた。

その願いに対する現状は お客さんの反応からも見えてくる。紙袋を大切そうに持って帰っていく人、近くに住む外国人が慎ましくカフェをしていたり、制服姿の高校生が少しだけ背伸びしてランチにデザートを追加していたり。それぞれ異なる客層の人達が 各々に新しいステージを見つけられたかどうかはさておき みんながすごく穏やかな顔をしている。

それは米司さんの作品の持つ力然り、もちろん彼女と家族の努力の結果だということ。

tou cafe and gallery(トウカフェアンドギャラリー) まかいのロゴマークに関して

ちなみにtouのロゴマークは 沖縄の方言であるお椀を意味するマカイが重なっている。

沖縄の文化や歴史という大きな土台の上に 沖縄の職人たちの技術があり、それを経て私たちみんなの食卓の上にお皿が並んでいる。

三つのまかいがひとつと欠けずに重なることで わたしたちの食卓の上で沖縄が広がることが出来るのだというイメージ。

沖縄の文化や歴史、職人たちの技を大切にしていきたい、だからこそ その価値を知ってもらって それぞれの家庭で思う存分使ってほしいという想いから。

マカイも重なることができて初めてマカイと呼ばれるという。

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まとめ

先日、30歳になったばかりの彼女。

出会った頃の彼女は20代半ば手前だったけど やけに落ち着いていたし さほど今と変わらない。

そして touを始めたばかりの当初に 彼女にちらついていたうっすらとした不安のかげりや自信のなさは 今はもう見えない。

それは自分への過信でも 日常へのマンネリでももちろんなく 彼女自身が常に新たなステージを見据え そこをめがけているからだと思う。

気がついたら霧を抜けていたということなのかもしれない。

彼女の可愛らしく甘いビジュアルの中には どんな外圧に屈しない固い意思がある。

「芯」が強いとは「心」が強いとも表現出来るような魅力であって、実際に彼女はそういう女性だと思う。

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